保護犬。
いつしかすっかり定着したこの言葉。ですが、保護犬にまつわる事情はさまざま。
いずれも、人の身勝手から生まれたものです。とはいえ、野生動物とペットの違いは、100%人の身勝手によるものです。自分のものとして飼う。それは人の勝手であって、野性では人のことなど知りもせず、その生物特有の一生を終えていくのです。
そして、そのペットも生き物であることを軽視する人もいます。重視する人もいます。それは考え方や習慣や宗教などによっても違うでしょうから、これもさまざまなのです。
結果的に、人の事情だけ保護犬の事情もあるのです。
保護犬と呼ばれている犬たちは、いったいどんな事情を抱えているのでしょうか。
代表的なものを挙げてみます。
●保健所、動物愛護センターで保護された犬
捨てられたり、捨てられた上に飼い主不在のまま繁殖してしまったり(これは野性ではありません、人間の責任です)、盗まれて遺棄されたり、逃げたり……。
また、飼い主の事情で手放された犬もいます。ペット不可の家に越した、経済的に飼えなくなった、飼い主が亡くなり遺族は引き取らない場合(遺族がいない場合)、狂暴で飼えないなどなど。最近では高齢になったからと保健所に引き取りを依頼するケースもあるとのこと。高齢のワンちゃんは、かわいいんですけどね。やさしい目をして、ポワッとして。でもまあ、夜泣き、徘徊などもあって飼育が困難になる場合もあるかもしれません。
かつては一定期間を経て飼い主が現れない場合は殺処分されるのが常識でした。近年、殺処分ゼロを目指す運動が全国的に高まって、保健所、動物愛護センターでも積極的に里親探しをしています。
それでも引き取り手がない犬を救い出すボランティア団体もあります。
●災害によって保護された犬
大規模な災害によって、避難した人たちがいる一方、遺棄された犬もいます。または飼い主が被災して飼えなくなってしまう、飼い主が亡くなってしまうなどのケースです。
2011年の東日本大震災でも問題になりましたが、動物保護のボランティア団体などがこうした犬を保護する活動をしています。
●ブリーダー崩壊、ペットショップ倒産などで保護された犬
日本ではペットはファッションとしても扱われているのが現状で、そのためブームが起こります。また生体での販売が通常なので展示しているうちに成犬になって売れ残ってしまう犬も出てきます。ビジネスですから、ブームが去って子犬が売れなくなれば、経済的に成り立たなくなり、その命がすべて廃棄の対象となります。作り過ぎた命、ということです。
さらに、経済優先で考えると、繁殖には最低限のコストしかかけません。その結果、販売に適さない先天的な疾患のある犬、または売れない、人気のない外観の犬なども、廃棄の対象となります。
ペット・ブームが起こるたびに、足りない種類をムリに増産させるので、遺伝子的に危険(近親間の繁殖など)が増したり、外観で人気が出るようにとさまざまな種類を掛け合わせて「商品開発」をしてしまう人たちも出てきます。成功して売れる犬が生まれればいいですが、売るのに適さない犬が生まれたときはどうするのでしょうか。
そうこうしているうちに、こうしたブリーダーやペットショップは、通常は小さな資本金で運営されていることが多いため、後継者がいない、経営が悪化したといった理由で簡単に倒産、破産します。
残された犬たちは、誰が面倒を見るのでしょう? こうした犬たちを引き取るボランティア団体もあり、保護犬となります。
●闘犬、実験動物からの保護
日本では少ないですが、海外ではまだ犬を賭けの対象としている人たちがいて、戦わせたり、競争させたりしています。また化学製品、薬品などの実験動物として使用している場合もあります。動物保護団体などの活動で、こうした人たちから救出された犬も、保護犬となります。
●多頭飼い、飼育放棄
猫に多い事例ですが、犬でも起きています。最初は好きで飼っていたのでしょうが、しだいにもっとたくさん飼いたくなる。アニマルホーディング(劣悪多頭飼育)などとも言われ、中には飼い主が精神的な疾患によって多頭飼いをしてしまうケースもあります。ホーディング障害(Hoarding disorder)は、ゴミ屋敷とも共通した症状とも言われ、自分で止めることができません。
頭数が増えるにつれて、経済的に厳しくなっていき、劣悪な環境での飼育となっていきます。こういうケースでもボランティア団体が保護活動をしています。
このように、どの保護犬も、すべては人の身勝手、勝手な事情によって保護犬となるのです。
そもそも、私たちが動物を自分の心のよすがとして手元で育て、一緒に過ごすこと、心を通わせること、さらに散歩の友、話し相手など実用に供することは、すべて人の勝手であり、犬にはなんの罪もありません。
人間と犬との付き合いは3万年ほど前まで遡れると言います。それほど付き合ってきて、品種改良されてきた犬を、いまさら野性に戻すことなどは不可能です。自然のままに寿命をまっとうさせることも不可能です。
保護犬は、保護されただけでもまだしもで、交通事故で亡くなったり、いわゆる殺処分によって亡くなることからはとりあえず救われています。
しかし、ボランティア活動にも限界があります。そこで里親、譲渡先を求めることになるわけです。
ちょこはなプロジェクトでは、ミニ写真集『笑顔をありがとう』の収益のほか、自分たちでできる範囲の寄付をしています。
これまでの寄付先は下記の団体でした。
NPO法人ペット里親会
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